2023年09月24日
【残地物処理等に関する契約の活用】これは事前に打ち合わせが必要。
こんにちは二葉不動産の原です。
【残地物処理等に関する契約の活用】
昨日の高齢者様のブログの続きですが、入居者の孤独死が起きた場合においてどのように対応するか、または事前に対応する方法はないかについてです。
弊社では孤独死が起きてしまった場合は、警察に連絡してきていただき確認の上親族様に連絡してお越しいただく。親族様に荷物等を搬出していただき(費用は親族様)、最後に鍵を預かって終了が一般的ですが、今回は事前に対応する方法としてご紹介します。
国土交通省では単身高齢者が亡くなったときのために「残地物処理等に関する契約の活用の手引」を発行しております。
貸主、借主、および借主の受任者(これは親族の方が一般的)を設定した残置物の処理等に関する契約を活用しましょうということです。
賃借人が死亡すると、賃借権と物件内に残された家財(残置物)の所有権は、その相続人に承継されるため、相続人の有無や所在が分からない場合、賃貸借契約の解除や残置物の処理が困難になることがあります。このようなリスクが主な原因となり、特に、単身の高齢者に対して賃貸人が建物を貸すことを躊躇するのが問題になっております。
【貸主様との賃貸借契約書に解除の代理権の付与、借主と受任者で委任契約を】
この残地物処理等に関する契約において重要な点は、貸主様との賃貸借契約において特約事項等に「解除による代理権の授与および解除する旨の貸主様との意思を受領する代理権」を授与しなければなりません。賃貸借契約は貸主様と借主様の契約であり借地借家法では第三者に代理権及び解除権はありません。そのためお父様が一人で住んでおり亡くなったので、勝手に息子様が契約を解除することはできないのです。ここが法律の難しいところでよくトラブルになります。
そして借主様と受任者の親族様(いない場合は支援法人、または第三者の不動産管理会社など)との間で委任契約を結びます。
①借主様の死亡時に残置物の廃棄、指定先の送付などの事務作業
②廃棄しない残地物(相続人に渡す家財等)の指定と送付先
③受任者は賃貸借契約解除による終了後、借主様の一定期間の経過による破棄しない残地物以外のものの廃棄
をしっかりと決めなければなりません。
【かなりのハードルのため事前の相談が必要】
正直なところ、残置物処分のことを事前に相談することはなかなかハードルが高く、貸主様側からしたら「怖いので借りないでくれ」と思われてしまいます。このようなことがうまくいくのであれば、そもそもこのような委任契約はいらないのではないかと思ってしまいますが、借主様がご存命なのに受任者が先にお亡くなりになってしまう可能性もあります。
亡くなられた受任者の親族が引継いだのに、協力してくれない可能性も0ではありません。受任者の親族と借主様が仲がいいとは限らないですから、、、
とはいえ、貸主様、借主様、受任者がすべてご納得の上契約を交わすことであれば問題がなく、借主様が不在になった後に対しても円滑に賃貸借契約を終了できるものだと考えます。
【二葉不動産としてどう考えるか】
弊社としては残地物撤去の契約を交わすのではなく、事前に借主様へ親族の方に何かあった際に協力してもらうよう伝え、金銭面で賃貸保証や火災保険の残地物撤去費用特約が付帯したものに加入してもらいます。保証会社ではお亡くなりになった後に対しても保証してくれる会社が多いため、最近での賃貸借契約では積極的に利用するようにしております。
弊社でも何度か相続人不在により、仕方なく連帯保証人様に対して撤去費用を請求したり、連絡がつかず仕方なく貸主様にお願いして撤去費用を捻出してもらったこともあります。連帯保証人様が対応してくれず仕方なく弁護士先生にお願いして訴訟を起こしたことや、強制執行に立ち会ったこともあります。